「国軍関与なら違法」米政府、ミャンマー進出企業に警告
バイデン政権は1月26日、ミャンマーで事業を展開している企業に対し、人権や法の支配が脅かされ、ビジネスを継続するリスクが高まっていると警告した。 国務省や財務省など6省庁が連名で文書を発出したもので、ミャンマー国軍は主に国有企業や宝飾品、不動産、武器の取引で得た資金を収入源にしており、関与した企業も米国法に抵触する可能性があると注意喚起した。 また、ミャンマー国軍は昨年2月のクーデター以降、国民に対する弾圧や統制を強めていると指摘。国軍に近いビジネスに関与する企業や個人は、米国の反マネーロンダリング法や制裁に違反しかねず「財務・法律上の重大なリスクにさらされる」と強調した。(時事通信社提供)
キリン合弁会社の清算申し立て、裁判所が却下
キリンホールディングス(HD)は1月26日、ミャンマーでのビール事業に関し国軍系企業による合弁会社の清算申し立てを現地裁判所が却下したと発表した。 清算の申し立てが却下されたのは、キリンHDと国軍系企業Myanma Economic Holdings Public Company Limited(MEHPCL)の合弁会社ミャンマーブルワリー。昨年2月のクーデター後、キリンHDは合弁解消に向けて交渉を開始したが、国軍系企業は協議に消極的で11月には合弁会社の清算を裁判所に申し立てていた。 審理はヤンゴン西地区裁判所で行われたもの。キリンHD側は、申し立ての根拠法令が誤っているとして却下を主張。今回はこれが認められた形だが、MEHPCLが根拠法令を修正した上であらためて清算を申し立てる可能性もあり、依然として先行きは不透明となっている。 キリンHDは、引き続き国際的な商事仲裁か当事者間の協議で合弁解消を目指す方針で、MEHPCLから再度清算が申し立てられた場合は「状況に応じて適切に対処していく」としている。
2021年度のミャンマー経済成長率は1%、世銀が予測
世界銀行は1月26日、2021年度(2021年10月1日から2022年9月30日まで)のミャンマーの国内総生産(GDP)成長率が1%に留まるとの予測を発表した。 Radio Free Asiaが1月26日に伝えたもの。世界銀行は、2020年度(2020年10月1日から2021年9月30日)のミャンマーの経済成長率をマイナス18%と発表したが、2021年度はクーデターに起因する内戦などの治安悪化、流通の停滞、現地通貨の下落、銀行業の不振、電力不足、インターネット利用の低下などのマイナス要因があるものの、縫製業、石油天然ガス、建設業で収益の改善が見込めるとして経済成長率を1%と設定した。 一方、2021年度に国内の貧困率が2倍に増加すると予測している。
「第1回国民会議を開催」民主派勢力が発表
民主派勢力の国民統一顧問評議会(NUCC)は1月26日、第1回国民会議をまもなく開催すると発表した。 DVB Burmese Newsが1月26日に伝えたもので、国民会議を開催する目的として、①NUCCの組織拡大 ②フェデラル民主主義憲章第1章に掲げる事項の実施と移行期間の体制 ③国民統一政府(NUG)の再承認などを挙げている。 NUCCは、2020年総選挙で当選した議員や少数民族武装勢力8グループの代表者、軍評議会に反対する組織などが参加している。武装勢力8グループのうちカレン民族同盟(KNU)、チン民族戦線(CNF)、カレンニー民族進歩党(KNPP)の参加は公表されているが、残りの5グループについては非公表となっている。 NUCCは、昨年11月16日に行った記者会見で12月中に第1回国民会議を開催すると発表していたが、これまでのところ開催されていない。
戦闘による避難民が38万人以上に、UNOCHA発表
ミャンマー北西部と南東部では国軍と少数武装勢力や人民防衛隊との戦闘が続いており、避難民の数が38万人以上に達した。 DVB Burmese Newsが1月26日に伝えたもので、国連人道問題調整事務所(OCHA)の発表によると、ザガイン管区で113,900人、チン州で33,800人、マグウェー管区で20,100人など北西部で167,800人、カヤー州で91,400人、カイン州で74,600人、シャン州南部で42,600人、モン州で7,100人、タニンダーリ管区で1,600人、バゴー管区で600人など南東部で217,900人が避難しているという。 ミャンマーの人権団体である政治犯支援協会(AAPP)の発表によると、昨年2月のクーデター以降に殺害された市民は、1月26日時点で1,494人に達しているという。
9か月間に国軍兵士1,029人が死亡、人民防衛隊側が発表
クーデター後の9か月間にチン州、マグェー管区、ザガイン管区で起きた戦闘により、国軍兵士1,029人が死亡したことが明らかになった。各地の人民防衛隊が参加する「チンランド・ジョイント・ディフェンス・コミッティー(CJDC)」が発表したものをRadio Free Asiaが1月26日に伝えた。 これによると、チン州やザガイン管区のカレー、マグェー管区のガンゴー、タムーなどの地域では、昨年4月24日から12月31日までの約9か月に180回の戦闘が発生し、国軍兵士が1,029人、人民防衛隊の隊員が58人、民間人が22人死亡したという。 国連人道問題調整事務所(UNOCHA)は、戦闘によりザガイン管区で113,900人、チン州で33,800人、マグェー管区で20,100人の避難民が発生していると発表した。
ミャンマーのガス田、トタルなどの撤退でタイ企業が事業主体に
タイの資源開発会社PTTエクスプロレーション・アンド・プロダクション(PTTEP)が、ミャンマー最大のヤダナ天然ガス田の事業主体となる見通しだ。複数のアナリストが明らかにしたもので、クーデターの影響で、フランスの石油天然ガス開発大手トタルエナジーズや米シェブロンが撤退したことが背景にあるという。 PTTEPが事業主体となることで、タイとミャンマーへのガス供給は維持される見込み。PTTEPは、すでにガス田の権益25.5%を保有している。トタルとシェブロンの権益を取得した場合、PTTEPの権益は85%となる。 ランタウ・グループでバンコクを拠点とするコンサルタントは「PTTEPがオペレーターとして事業を引き継ぐ可能性が高い」とコメントした。(時事通信社提供)