日本首相による訪問滞在~ミャンマー側の報道から

安倍晋三首相は5月24日、ミャンマーを訪問した。日本の首相によるミャンマー公式訪問は36年ぶり。 約40の企業、団体の代表が同行した。2日間の滞在を終え、26日夜に帰国。 5月24日午後にミャンマーに到着、25日はアウン・サン将軍等がまつられる「殉難者廟」で献花し、日本人戦没者が埋葬されている「イエウェイ日本人墓地」を墓参。その後、ティラワ経済特区予定地を視察した。午後にはNLDリーダーのアウンサン・スーチー氏とヤンゴン市内で会談。計画の早期段階の実現を図るべく日本とミャンマー間で合意契約をした。 首都ネーピードーで26日、テインセイン大統領宅を訪問して会談。午後はミャンマー国際コンベンション本部にて、テインセイン大統領による昼食会が実施された。 今年12月にミャンマーが開催国として開催される「27回目東南アジアスポーツ大会」で、ミャンマー選手が着るスポーツユニフォームを日本有名デザイナーのコシノジュンコ氏がデザイン。安倍首相はテインセイン大統領に贈呈した。その後、ネーピードー国際空港から日本に出発した。 両国間の契約について4点発表した。 (1)ミャンマー政府は民主化の計画と法律の公正、経済の移行措置、国民の団結と一層の努力を確認。日本政府は官民あげた計画の支援を約束した。 (2)ミャンマーの国づくり支援のため、新たに総額910億円のODA(政府開発援助)を行うほか、総額約5,000億円の対日債務の解消する方針を表明した。また水道や道路などの基礎的なインフラとともに、人材の育成や法制度の整備といったソフト面での協力も行う意向を示した。 (3)両国の発展支援のため、若者の相互交流も今後は図っていく。また長い目で、文化的・スポーツでの協力を約束。特に今年12月に行われる「27th SEA Games(Southeast Asian Games/東南アジア競技大会)」のサポートも日本政府は表明した。 (4)アジア太平洋地域とインド海洋の事態安定のほか、両政府で安全面の協力を約束した。 今年は日・ASEAN友好協力40周年という節目の年、さらなる協力について語り合った。[5/27・ミャンマー各紙]

ミャンマーの電気問題、安定供給に向けた競争へ

国内の石油・天然ガス産業へ海外からの投資を呼び込むため、石油・天然ガス開発事業の入札を行い、外国企業からの入札希望の申し出を6月14日まで募った。 ミャンマー国内の浅海の11鉱区と深海の19鉱区が対象となる。 ◆世界中から積極的な反応 ミャンマーにおける石油や天然ガス開発事業の海外に向けた入札依頼のニュースは、世界中のエネルギー企業の中で話題になった。近年は、世界中のどの地域においてもエネルギー安定供給のニーズが高くなっており、国をあげた取り組みとエネルギー開発市場競争の動きは朗報といえる。 今回、早急に名乗りを上げたのはオランダ企業のShell社、米国企業のExxon社とChevron社、日本の三井物産株式会社を含む外国企業59社。隣国のインドでも、参入への遅れを避けるため政府関連企業と民間企業の計6社が申し込んだ。「インド企業には極めて重要な案件、将来性のある出資だ。今後の政治経済の発展においてもミャンマーは大事」とインドの石油企業OVL社ディケサーラフ常務はメディアに答えた。 ◆ミャンマー企業の動きは 一方、浅海の鉱区で外国企業との共同事業を狙うため、申し出たのはミャンマー国内企業100社以上。権利を得るための外国企業に求める約束としては「浅海にある鉱区の入札資格を獲得した企業は、少なくとも国内企業1社と共同で事業を行う」「深海の鉱区については外資単独での事業を認める」と、今年5月に米国テキサス州で行われた海洋石油開発に関する国際会議にて、ミャンマーのエネルギー省副大臣が発言。また同氏は「ミャンマー企業に能力、学力と技術、金銭的に有力な外国企業と一緒に働かせたい。外国企業からやり方などを学び、将来我々の天然ガス事業に対し、国内企業がより貢献できることを期待している」と話した。 ◆実現に向けた課題は多い ミャンマーの抱える大きな問題の解決へ、どう進めるか。入札参加を表明した米国のエネルギー企業に対し「自然環境と社会事業に敬意を持って出資をするべきだ」と米国エネルギー省副長官が同会議で助言した。また同副長官は「今までのミャンマーは、住人の意思とは反し、人権と自然環境を大切にしなかった。かつての少将が行なった最北部カチン州・ミッソン水力発電所の問題は止まったままで、北部ザガイン管区・モンユワの銅鉱山開発も今まで解決されていない。また、中国とミャンマー政府が契約して工事した石油パイプラインも、強引に土地を略奪しようと行動を起こしたためにデモが勃発した。しかも石油天然ガスが豊かなミャンマーの電気使用は人口の27%にしか供給できず、アジア諸国の中で最低という。ミャンマー政府としては、石油・天然ガス問題を国で必要になっているエネルギー問題と別にすべきではない」と苦言を呈した。 「昨年ヤンゴンで起きた停電デモから見ても、政府に対し、十分な電気を与えてほしいという国民の声は明確だ」とも語る。そのことは、ミャンマーの資源を国家収入のために海外諸国へ売る必要があるとともに、6,300万の人口のエネルギー確保への要求も応えることが不可欠となった、といえよう。 この6月に石油・天然ガス開発事業の権利入札のため、企業を選択するミャンマー側にとっては上記の課題を必ず考えねばならない。以前は中国、インド、タイ、韓国企業のみが権利を握っていたミャンマーのエネルギー問題に今後、どこの外国企業が参入してくるか、ミャンマー政府の対応と動向を世界の国民が関心を持って見つめている。[7DAY NEWS]