茂木外務大臣がミャンマー訪問、二国間往来の9月上旬開始で合意

 ミャンマーを訪問中の茂木外務大臣は8月24日、アウン・サン・スー・チー国家顧問兼外相と会談し、駐在員など長期滞在者の往来を来月上旬にも再開させることで合意した。  会談で茂木大臣とスー・チー国家顧問は、新型コロナウイルスの影響で制限中の往来に関し、駐在員など長期滞在者について入国後2週間の待機を維持することなどを条件に、双方向の長期滞在者の往来を可能とする「レジデンストラック」を来月上旬にも開始することで合意した。また、14日間の自宅等待機期間中も行動範囲を限定した形でビジネス活動を可能とする「ビジネストラック」についても、早期の運用開始に向けて外交ルートによる調整を加速化させることで一致した。  茂木大臣は、新型コロナウイルス対策のための緊急財政支援や中小企業の資金繰り支援を目的として合計450億円を限度とする円借款を行う考えを伝えたほか、11月8日に実施予定のミャンマー総選挙について、笹川陽平・ミャンマー国民和解担当日本政府代表率いる選挙監視団を派遣するとともに、二重投票防止のための特殊インクの供与を決定した旨を伝えた。スー・チー国家顧問は、これら日本の支援に対し謝意を示すとともに、民主的な選挙を確実に実施したいとの決意を述べた。

JETRO STREAM~日系企業動向、ミャンマーの新潮流を読み解く~

コロナ禍における新たな事業が始動(その2) ~“デジタル・ジェトロ”を推進~   国際旅客機の着陸や入国ビザの新規発給などの各種入国制限措置が8月31日まで再び延期されました。前稿では、コロナ禍におけるニューノーマル(新常態)に対応したサプライチェーンの多元化やポストコロナに向けたルール形成への動きをご紹介しました。本稿では、ジェトロの新たな取組みとして、各種事業のデジタル化の推進を紹介します。 日緬投資ダイアローグをオンラインで実施  直近のオンライン事業としては、7月29日、ZOOMウェビナーの機能を使い、在ミャンマー日本国大使館とミャンマー政府と連携し、「日緬投資ダイアローグ」を開催しました。  本ダイアローグは、ミャンマーの政府、産業界から今後の経済回復シナリオや投資政策を御報告頂くと共に、経団連をはじめとする我が国経済団体の代表者から現下の関心事項や緬政府に対する要望等を伝え、両国の人的・ビジネス関係の絆を絶やすことなく、相互の理解促進を図ることを目的として開催されました。当日は3,500人超の政府、ビジネス関係者がオンラインで繋がりました。本ウェビナーは、①国家元首級の参加、②千人超の接続、③日緬15拠点のパネル接続、④同時通訳など、当初、複雑なオペレーションを心配する声もありましたが、終わってみれば、通信回線も途切れることなく、スムーズにイベントが実施できました。これも偏にビジネスツールとしてのデジタル化が進んできているものと見ています。 “デジタル・ジェトロ”を推進  ジェトロでは、“デジタル・ジェトロ”を掲げ、コロナ禍でのビジネス機会の損失を最小限に食い止めるべく、既存事業のオンライン化を急ピッチで進めております。  8月下旬には、日本とミャンマーの双方の企業が参画する食品機械分野のウェブ商談や、新たな取組みでは、オンライン上で日本とASEAN の企業間連携を促し、新たなビジネスを創出するためのプラットフォームを構築しました。同時に、日本とASEANの企業が共同で実施する実証事業への支援も始めました。現在、補助対象となる事業者を公募しているところです。  今後、BtoBの分野での海外バイヤーとのマッチングや、オンライン上での貿易・投資相談、コンサルティングなども積極的に展開していきます。  コロナ前のような人の往来の自由やFace toFace の事業ができるまでの辛抱です。引き続き宜しくお願い申し上げます。 (2020年9月号掲載) 田中一史(たなか かずふみ) 日本貿易振興機構(ジェトロ)ヤンゴン事務所長。主にアジア経済の調査や企業の海外展開支援業務を担当。海外勤務は、マニラ事務所調査ダイレクター、サンフランシスコ事務所北米広域調査員、バンコク事務所次長を歴任。2017年12月より現職。