ヤンゴンでのコロナの治療体制|Dr.井上のミャンマー新型コロナウィルス最新情報

コロナ最新情報とありますが、最近はコロナ関係の情報が手に入らない状態です。 コロナ陽性患者情報はついに発表が週に1回になってしまいました。しかも、CDMで全国の国立病院が機能しなくなっているので、どこでどれだけ検査されているのかすらわからない状態です。 今回は、現在わかっているヤンゴンでのコロナの治療体制に関して記します。 今までコロナ治療を一手に引き受けてきた国立病院は、CDMにより現在は全国的にほぼ機能停止になっています。救急外来だけは機能しているとの情報もありますが、全体としてどれだけ運営されているのか不明です。今ミャンマー人が病気になったらどこを受診するのでしょうか。 現在、ヤンゴンでにコロナ治療をしている病院は私立のパンライン病院のみです。ヤンゴン川の西側で、パンラインゴルフ場のそばにある病院です。現在コロナにかかったらパンライン病院以外の選択肢はありません。 パンライン病院ではコロナの迅速抗原検査(4.5万MMK)はできますが、PCR検査(20万MMK)は外注なので診断確定が翌日以降になるなど完璧ではありません。しかし現在PCR検査ができるように準備中との情報もあります。 パンライン病院は病院全体で150床の病院ですが、COVID専用病床数は45床です。ICUは4床で、人工呼吸器が8台あるそうです。COVID-19入院患者は2/23現在で26名です。 パンライン病院は,通常は海外保険キャッシュレスサービスが使える場合はデポジットは必要ありませんが、現在、CDMにより銀行送金ができないためキャッシュレスサービスを停止しています。現在は現金もしくはクレジットカードでデポジットを支払う必要性があります。デポジットは300万MMK(USD, クレジットカード可)です。 差額ベッド代は1日あたり25万~30万MMKです。(個室,3食付,Wifi,シャワー・トイレ・歯ブラシなどアメニティーあり)診察・検査・治療費は別料金です。 政府が定めたガイドラインによれば、無症状陽性患者の入院期間は10日間となっていますので、総入院費はデポジットを上回ると予想されます。 コロナ感染が疑われる無嗅覚症状のある患者が来院した場合、1回目の抗原検査で陰性となった場合はホテルに滞在し、2日後に再度抗原検査を実施し2回目の抗原検査でも陰性となった場合には帰宅となります。 陽性となった場合には病院が所有するコンドミニアムに移動し引き続き隔離(入院)の対象となります。陽性が判明した時点でデポジットが発生します。 病院の隣にあるSky Hotelを隔離観察用ホテルとして105室確保しています。3食,Wifi付、個室一泊10万-18万MMKです。(2人部屋,ファミリータイプあり) これは抗原検査が陰性だが,家に同居者がいるなど諸事情によりホテルでの経過観察を希望する者や経過観察が必要な患者が滞在します。 現在日本人が発熱した場合、YJMCでスクリーニングできます。 コロナ感染が疑わるような場合は予め電話をしてYJMCを受診していただければ、検査してコロナ以外の病気であれば治療をします。コロナが疑われるようであれば、パンライン病院へ紹介となります。その他の病気であれば、その他の民間病院へも紹介できます。 なお、現在YJMCは月曜日から土曜日まで祝日以外毎日営業していますが、受付を午前中のみとしています。よろしくお願いします。 Dr.井上のミャンマー新型コロナウィルス最新情報 先週の記事 全ての記事 執筆者プロフィール 井上 聡(いのうえ そう) Yangon Japan Medical Centre院長 慶応義塾大学医学部卒業。外科専門医、消化器内視鏡専門医。2018年7月よりヤンゴン在住。 Yangon Japan Medical Centre 09-7777-08448 外来、健診、予防接種。海外旅行保険対応。 クレジットカード可。

クーデターによる軍事政権、独自の論理で合法性を主張

 クーデターによる軍事政権は、国営新聞を通して新たな憲法解釈と論理を展開し、2月1日に起こしたクーデターの合法性を主張した。軍事政権の最高意思決定機関である国家統治評議会が発表したもの。 主要な部分は以下のとおり。  選挙人名簿の不備など総選挙に関する問題に対し、ウィン・ミン大統領は憲法に記載される権限を行使せず、問題の解決を図ろうとしなかった。これは職務怠慢にあたり、憲法が定めている条項に違反しており大統領の職務を十分に果たしていないとし、その他の違反事項もあるとした。その上で、憲法第73条(ア)に従い、第一副大統領が臨時大統領となり、国家防衛・治安評議会における協議の上、国家非常事態宣言を発出し、国権を国軍最高司令官に委譲した。よって、クーデターにより政権を奪取したのではなく、正当な手続きにより政権を樹立したのである。 編集部注)  1.憲法には「選挙結果は連邦選挙管理委員会が最終決定する」とあり、大統領が選挙に関して問題を解決する責任はないと考えられる。  2.総選挙に関する事項はすべて独立機関である連邦選挙管理委員会に決定権があり、問題が発生したのであれば、国軍は裁判所に訴えるべきで、大統領が問題を解決すべきというのは正当性に欠く。  3.そのため「大統領が職務怠慢」というのは不合理な論理。  4.どの時点でウィン・ミン大統領が解任されたのか、誰が解任したのか、などの過程が不明。憲法によると大統領の地位を失うには弾劾裁判所で訴追されるか、大統領としての資格を失うかのどちらかであるが、今回の発表では「大統領の職務怠慢」をあげている。国軍がこれを理由に解任できるとは憲法に記載されてない。

ミャンマー激動の2月、最終日に軍は過去最大の武力弾圧

 クーデターで全権を掌握したミャンマー国軍は2月28日、軍事政権に抗議する市民への弾圧を全国で強化した。  治安部隊の攻撃により、この日の犠牲者数はクーデター発生後で最多となった。国連によると、全国で少なくとも18人が死亡、地元メディアによると23名以上が死亡したとの情報もある。  ミャンマーではこの日、最大都市ヤンゴンでも初めて犠牲者が出ており、治安部隊による弾圧が続くことで、さらに緊張が高まっている。  また、日本の外務省は28日、治安部隊の実力行使によって多数の民間人が死傷し、拘束者が発生している事態を憂慮し、国際社会の度重なる呼びかけにもかかわらず、民間人に対する暴力が継続されていることを強く非難するとの外務報道官の談話を発表。日本政府として、アウン・サン・スー・チー国家最高顧問を含む関係者の解放と、民主的な政治体制の早期回復を改めて国軍に対して強く求めるとの姿勢を示した。 2月28日のスーレーパゴダ付近で撮影。治安部隊のバリケード封鎖を囲むようにデモ隊がシュプレヒコールをあげたが、これに治安部隊は催涙弾などで鎮圧しようとした。(写真:読者提供)

国家統治評議会が発表「NLD議員が設立したCRPHは非合法組織」

 国軍による政権の最高意思決定機関である国家統治評議会は声明文を発表し、総選挙で当選したNLD議員により設立された連邦議会代表者委員会(CRPH)は非合法組織であると認定した。国営新聞「Myanma Alinn」が2月28日に伝えたもの。 声明文の要旨は以下のとおり。 1.2008年憲法第417条により非常事態宣言が発出されている期間中、国軍最高司令官に立法、行政、司法の三権が委譲されている。憲法第418条(イ)により三権が委譲されている期間中、議会を構成する議員や職員は解任されたものとされ、憲法第419条により新たな選挙管理委員会を設置した。 2.新たに設置した選挙管理委員会は2月5日に「2020年総選挙で不正が行われたため、選挙管理委員会は調査を開始している。そのため調査を行っている期間中は旧選挙管理委員会が交付した当選証書は無効となる」と発表し、2月25日には「新たに設置した選挙管理委員会が調査を行っている段階で、当選議員らが勝手に委員会を設置したり、会議を行ったり、声明文を発表したり、代表者を選出したりすることは合法ではない」と発表している。 3.人民代表院法第5条、民族代表院法第5条によると、各議会の議長の立ち合いで宣誓し署名することで初めて正式に議員として認定されるため、総選挙で当選したからと言って正式に議員になったとは認められない。 4.よって正式に議員として認められていない者が設立した連邦議会代表者委員会(CRPH)は非合法であるだけでなく、重大な犯罪を犯しているとみなされる。そのような委員会に関与することを禁止するとともに、関わった者は法律に従い、処分されることを周知する。