クーデターによる軍事政権、独自の論理で合法性を主張

 クーデターによる軍事政権は、国営新聞を通して新たな憲法解釈と論理を展開し、2月1日に起こしたクーデターの合法性を主張した。軍事政権の最高意思決定機関である国家統治評議会が発表したもの。

主要な部分は以下のとおり。
 選挙人名簿の不備など総選挙に関する問題に対し、ウィン・ミン大統領は憲法に記載される権限を行使せず、問題の解決を図ろうとしなかった。これは職務怠慢にあたり、憲法が定めている条項に違反しており大統領の職務を十分に果たしていないとし、その他の違反事項もあるとした。その上で、憲法第73条(ア)に従い、第一副大統領が臨時大統領となり、国家防衛・治安評議会における協議の上、国家非常事態宣言を発出し、国権を国軍最高司令官に委譲した。よって、クーデターにより政権を奪取したのではなく、正当な手続きにより政権を樹立したのである。

編集部注)
 1.憲法には「選挙結果は連邦選挙管理委員会が最終決定する」とあり、大統領が選挙に関して問題を解決する責任はないと考えられる。
 2.総選挙に関する事項はすべて独立機関である連邦選挙管理委員会に決定権があり、問題が発生したのであれば、国軍は裁判所に訴えるべきで、大統領が問題を解決すべきというのは正当性に欠く。
 3.そのため「大統領が職務怠慢」というのは不合理な論理。
 4.どの時点でウィン・ミン大統領が解任されたのか、誰が解任したのか、などの過程が不明。憲法によると大統領の地位を失うには弾劾裁判所で訴追されるか、大統領としての資格を失うかのどちらかであるが、今回の発表では「大統領の職務怠慢」をあげている。国軍がこれを理由に解任できるとは憲法に記載されてない。