マンダレー駐在員が振り返る20日の軍隊による発砲事件

 2月20日、軍隊による発砲で死傷者を出したマンダレーでのデモ活動。22日の現地では、ヤンゴン市内と同様に大規模デモが行われ、ほとんどの企業や店舗はクローズとなり、街の至るところでCDM運動が繰り広げられた。  現在、マンダレーにいる日本人駐在員(仮名Aさん)によれば、デモ活動はヤンゴン市内と同じく2月7日頃から開始し、中国領事館付近とマンダレー~ヤンゴン間の高速道路のロータリーが二大中心地で、参加者が多くが10代~30代だという。発砲事件があった場所は、マンダレー中心地から車で20~30分のところにある河川港エリアで、一報はAさんと同じ企業のミャンマー人スタッフから連絡が入り、マンダレーに駐在する約10名の日本人ビジネスマンたちと情報を共有した。Aさんは「銃火器が使われたことで、CDMが新たなステージに入った気がしました」と振り返る。 写真:中国領事館付近で抗議する市民(Aさん提供、画像の一部を加工しております)  また、マンダレーに残る駐在員は現在も様子見の状態が続き、すぐにマンダレーを離れる予定はないという。「現状のステータスでは、マンダレーを離れる段階ではないという判断です。コロナのこともあり、1年以上ずっとここに残る駐在員がほとんどです」と語った。  マンダレーもヤンゴン同様に、もはや日常的に軍用車両が街中を走り、銃を装備している兵士を見るのも普通の光景になっているという。

現地弁護士が解説 ミャンマー政変後のビジネスの留意点(2/22 UPDATE)

本誌でコラムを執筆いただいているTMI総合法律事務所の甲斐史朗弁護士と、国際通商法が専門のTMI総合法律事務所の戸田謙太郎弁護士、奥村文彦弁護士に、ミャンマー政変後のビジネスの留意点について解説してもらいました。 ミャンマー政変後のビジネスの留意点 ~アメリカ経済制裁とは何か~ 2月1日未明にミャンマーで軍がアウン・サン・スー・チー国家顧問及び複数のNLDの国会議員、党幹部らを拘束し、政権を掌握しました。これを受けて、アメリカのバイデン大統領は、同月10日、ビルマ(ミャンマー)の状況に関する資産凍結のための大統領令(Executive Order, Blocking Property With Respect to the Situation in Burma。以下「本大統領令」といいます。)に署名し、翌11日、The Office of Foreign Assets Control(OFAC・財務省外国資産管理室)は、本大統領令に基づき、ミャンマー軍関係者等に対する経済制裁を発動しました。 ミャンマーでの長期的なビジネスを考える上では、同月11日に発動された経済制裁によって、日本企業がどのような影響を受けるのでしょうか。この「経済制裁」とは、いったいどのようなもので、ミャンマーでビジネスを行う日本企業は、どのような点に気を付ければよいのか、以下検討します。 アメリカの経済制裁とは OFACは、特定対象国やテロリスト等によって米国の安全保障や外交政策等に脅威となる活動に関与した者に対する経済制裁や取引規制を行っています。 2016年10月以前のミャンマーへの経済制裁は、ビルマ制裁規則(BSR)を根拠としていました。具体的な制裁措置は、それぞれの根拠法令に基づき、大統領令(Executive Order)により定められており、大統領の裁量が強いといえます。本大統領令に加え、今後、ミャンマーにさらなる経済制裁を行うか否か、行う場合にどのような内容とするかは、バイデン大統領が決することになります。 包括的制裁プログラムと限定的制裁プログラム ① 例えば、イランやキューバについては、概ね以下のような包括的制裁プログラムが課さ れていました。  ✓ 資産凍結(対象国政府・対象国国民)  ✓ 輸出入の原則禁止  ✓ 対象国原産の商品・サービスの取引の原則禁止  ✓ 対象国国内、対象国政府及び対象国国民との金融取引は原則禁止  ✓ 10%以上の米国原材料を含む製品の対象国への輸出の禁止 ミャンマーについては、2016年10月の制裁解除以前においても、このような包括的制裁プログラムは、課されていませんでした。 ② 限定的制裁プログラム ミャンマーにおいては、2016年10月以前においては、US personが以下の行為を行うことができないという制裁が課されていました。  ✓ ミャンマーへの新規投資の禁止  ✓ ミャンマーへの金融サービス輸出の禁止  ✓ ミャンマー原産の産品の米国への輸入禁止  ✓「特定の者」との取引禁止、「特定の者」の資産凍結 上記の制裁措置は、ミャンマーでの民主化に伴って緩和され、2016年10月7日に原則的に解除されました。 誰の行為を禁止しているか(US Person) 上記の行為が禁止されるUS Personとは、以下の者を意味します。 […]

体力低下にも関心をむけて|Dr.井上のミャンマー新型コロナウィルス最新情報

ミャンマーではクーデター騒ぎのためコロナ対策は吹っ飛んでしまいました。 感染状況が発表されないので、分析や対策を立てようにもどうしようもありません。公務員の非服従運動CDMのためかと思いますが、世界中でコロナの感染状況を発表していない国は何か国あるのでしょうか。 先週の帰国便で日本人医師が一人帰国したと報道されたことにより、もしかしたら私が帰国したのではないかとの問い合わせを受けましたが、心配しないでください。私はヤンゴンにいます。 さてコロナについて語れないので今週の話題は廃用症候群のことです。簡単に言うと筋肉は使わないと衰えるということです。 日本でもコロナの影響で病院、医院の外来患者が減っています。特に高齢者が外出せずに、家族が薬だけを取りに来ることが増えているそうです。   要介護状態の前段階をフレイルといいますが、現在はこのフレイル状態の高齢者が増えていると思われています。フレイルの間にきちんと対策を打てばもとに戻りますが、何もしないと要介護状態になってします。若い人は良いですが、ある程度の高齢者は今のうちに対策を打たないと、コロナとそれに続くクーデター騒ぎが治まったころには歩けなくなってしまいかねません。 現実的な対策としては、朝デモが始まる前の6時から8時までに散歩をするのが一番かなと思います。   実際に早朝に歩いている人がたくさんいます。10分で1,000歩ぐらいでしょうから、少なくとも20分はやってもらいたいものです。(最近たとえ10分でも運動として効果があると言われていますが、今回は廃用症候群の予防のためですから、あまり少ないと効果ないと思います。)   できれば心拍数が上がる程度、すなわちうっすらと汗をかく程度の速さ(強度)で歩くと効果的です。 もうすぐコロナが騒がれ始めてから1年です。リスクが高いからと自己隔離を真面目にやってきた方はそろそろ体力低下にも関心をむけてください。 Dr.井上のミャンマー新型コロナウィルス最新情報 先週の記事 全ての記事 執筆者プロフィール 井上 聡(いのうえ そう) Yangon Japan Medical Centre院長 慶応義塾大学医学部卒業。外科専門医、消化器内視鏡専門医。2018年7月よりヤンゴン在住。 Yangon Japan Medical Centre 09-7777-08448 外来、健診、予防接種。海外旅行保険対応。 クレジットカード可。