ミャンマー税務会計 ~なでしこ通信~

会計事務所からミャンマー事業のお役立ち情報をお届け! 新型コロナ救済計画に基づく税額控除および損金算入額に関する改正  今年4月、政府は、コロナ禍に対応するために、COVID-19 Economic Relief Plan(CERP)(新型コロナ経済救済計画)を発表しました。これに基づき、税制度関連でも、通達が次々と発表されています。今回は、6月に出された通達65条を紹介します。 計画財務工業省発表 通達第65条(No.65 / 2020) 2020年6月17日付 【内容】 ①追加で支払いされた賃金・給与にかかる還付不可の税額控除規定 2019-20収入年度中に、その前の年度より賃金・給与を多く払った場合には、多く払った額の10%の税額控除を受けることができます。還付不可の税額控除であるため、還付の申請や他の税金との相殺、および翌年への繰越控除を行うことはできません。 ②追加で支払った賃金・給与についての損金計上 上記①における追加で支払った賃金・給与合計額の125%を損金として計上できます。追加で支払った賃金・給与の損金計上が認められ、事業が損失となる場合は、その損失を翌年度に繰越すことができます。 ③資本設備への追加投資にかかる還付不可の税額控除の承認 資本設備への追加投資額の10%と等しい額を税額控除額として控除できます。ミャンマー投資法または経済特別区法に基づく免税の恩典を受けている納税者は、当該控除の対象外です。還付不可の税額控除であるため、還付の申請や他の税金との相殺、および翌年への繰越控除を行うことはできません。 ④追加の資本設備の減価償却費にかかる加速度償却の承認 2019-20収入年度中に追加取得した資本設備のために控除できる減価償却費の125%と等しい額を、損金としてとして差し引くことができます。この取り扱いは、2019-20収入年度1年のみ認められます。ミャンマー投資法または経済特別区法に基づく免税の恩典を受けている納税者も、当該規定に含まれる減価償却費の損金計上および損失の繰越が可能です。  この通達は、各税額控除と税務上の損金算入額の増額について、選択適用ではなく、両方適用できるという点がポイント。ぜひ活用していきましょう。 (2020年9月号掲載) 執筆者プロフィール 若松裕子 Japan Outsourcing Service Co., Ltd.(原&アカウンティング・パートナーズ)ヤンゴン事務所長・税理士。 2014年よりミャンマー駐在。中小企業から上場企業、ミャンマー国内法人まで幅広く事業をサポート。趣味は坐禅。