ミャンマー医療の現状とバンコクへの緊急搬送について現時点での情報

下記日系医療関係企業より連名にてミャンマーの最新医療レポートの提供がありました。 ・Yangon Japan Medical Centre ・Myat Mon 東京クリニック ・ブルーアシスタンスミャンマー ・ウェルビーミャンマー ・プレステージインターナショナルミャンマー ミャンマー再渡航をご検討されている皆様 ミャンマー医療の現状とバンコクへの緊急搬送について現時点での情報を取りまとめました。皆様のご判断の一助となれば幸いでございます。なお、情報は6月26日時点のものとなります。日々状況は変化することをご理解の上、ご参考にして頂きますようお願い申し上げます。 <①ミャンマーにおける新型ウイルス対策の全体評価> Q:3月23日の陽性患者発生から現在に至るまでの陽性患者数の推移、死亡者数の推移及び回復者数の推移をどのように評価されますか? A:ミャンマーにおける新型コロナウイルスの封じ込めに関しては、非常に成功していると評価しています。ほとんどが隔離中に発症しているので重症化することが少なく、結果として死亡者数が非常に少なく抑えられています。 Q:3月23日の陽性患者の発生以降、ミャンマー政府や特にヤンゴン管区政府が実施してきた防疫体制と各種規制は、現状で効を奏していると評価できますか? A:上記と同じになりますが、患者が発生した時の封じ込めのための対策は非常に厳格であり、それが功を奏しているので感染がコントロールできていると思われます。 Q:今後、Covid-19 蔓延の第二波、第三波が到来した場合、各種規制や防疫体制をもってある程度の抑え込みが可能と推測されますか? A:現在の国境閉鎖などの対策を永久に続けることは不可能でありますが、現在のような対策をとれば抑え込みは十分に可能であると思われます。 Q:万一、Covid-19 に罹患した場合、政府指定医療施設での治療となりますが、現状の回復者数を鑑みると外国人が許容できる医療サービスの提供と医療水準が保たれていると評価できますか? A:単に施設面、サービス面だけでいえば、先進国外国人が許容できるほど十分に衛生的、快適であるとは言えないと思います。しかし死亡者数が少ないのは事実であり、早期発見患者が多い、高齢者が少ないとの条件を考慮しても治療結果は現時点で良好であると言えると思います。 Q:政府指定医療機関又はヤンゴン総合病院において、ミャンマーの医療人材は人工呼吸器等の医療器材の取り扱いについて許容できる程度の取り扱い知識と技能を保持していると評価できますか? A:ヤンゴン総合病院などミャンマーのトップレベルの医療人材の水準を測るだけの情報と経験を持っていません。しかしどの国でもトップはある程度の水準を持っていると思います。 Q:JCCM会員企業で駐在員の一時退避率は概ね5割であり、5月に入りシフト勤務やミャンマー人スタッフのみで事業所を再開している企業が多く見受けられますが保健スポーツ省ガイドラインに沿った防疫体制を講じた上で、事業所を再稼働させることに関してどのように評価されますか? A:これに関しては医療関係でないのでコメントはできません。 Q:今後、入国規制や検疫規制が緩和され一時退避している日本人駐在員がミャンマーへ帰任する際、ミャンマーにおけるCovid-19 症の蔓延状況に鑑みて懸念される事項やその懸念を低減させるために行うべき事項をご教示ください。 A:現在の警戒レベルを維持するのであればミャンマーはかなり安全です。しかしこのままの警戒レベルを永遠に続けることは不可能を思っています。どの程度海外からのコロナ持ち込みを許容して、警戒レベルをさげるのかは予想できませんし、世界中でまだ実施されていなので、結果の予想も不可能です。 (文責:Yangon Japan Medical Centre院長 井上聡) <②ミャンマー国内のプライベート病院の受け入れ状況について> ❑今年4月~5月に比べて外国人を受入を拒否をする医療機関はほぼなくなってきているように感じます。専門医の診察が必要な場合も問題なく医療機関は受け入れられ、診察も問題なくできています。オンライン診療も各医療機関実施しており、医療機関に向かわずとも診察を受けることができます。発熱・咳などの症状がある場合で、コロナ感染の可能性については、担当医師の判断で政府に通報致します。 (文責:ブルー・アシスタンス・ミャンマー / General Manager 西村博彦) ❑ピーク時と比べ、現状は発熱や咳等の疑わしい症状がある場合を除き、通常時と同様に受診出来るようになりました。ただし、一部の医師は引き続き、外国人の受診に対し、拒む場合があります。その場合は、別の医師へご案内いたします。 また、感染の疑いがある場合はこれまで通り、政府へ通報されます。 (文責:ウェルビー・ミャンマー / Managing Director 河原寛明) ❑4月のような「発熱・咳などの症状=政府系病院を頼るしかない」という状況からは脱しています。多くのプライベート病院がオンライン診療を整備しており、他疾患との鑑別診断を受けられるようになったことが大きな理由です。現在は市中感染が落ち着いているので、これまで出勤を控えていた医師たちも診療を再開しており、医療へのアクセスは改善していると判断します。ただしこれらは、市中感染が発生しておらず、国際線の着陸禁止措置が取られている現在の状況です。措置が解除となれば、どこの病院も海外渡航歴による受診制限を設定すると思われるので、状況は変化すると予想します。 (文責:プレステージ・インターナショナル・ミャンマー / Manager 多木陽子) […]

なるほど! 納得!! ミャンマー法 ~駐在弁護士が気になる“あれこれ”を解説~

コロナをめぐる会社運営上の問題解決 Q 現在のコロナ禍の影響でミャンマーに出張することができないため、現地法人の取締役会、株主総会を開催することができません。会社運営に必要な決議をするために、どのような方法がありますか。 A 取締役会については、会社法上は開催頻度の定めはありませんが、合弁契約等で3ヵ月に1回や、少なくとも年に1回という形で定められている場合もあります。  また、ミャンマー会社法上、年次株主総会は、①会社設立から18ヵ月以内に開催する必要があり、その後は、②毎暦年に少なくとも1回(但し、前回の年次株主総会から、15ヵ月以内)開催する必要があります。  取締役や株主がミャンマーに行くことなしに株主総会、取締役会を開催する方法について、以下ご説明します。 取締役会について Web会議、電話、テレビ電話等で開催する方法  DICA のモデル定款を採用している場合、取締役会については、①直接出席による方法のほか、②電話による方法、③オーディオビジュアル機器による中継、④その他即時コミュニケーション手段によって、開催することができます。 書面決議の方法  賛成する決議の内容を書面に記載し、決議において議決権を行使することができる全ての取締役が署名することにより、会社は取締役会を開催せずに取締役会決議を成立させることができます。  また、取締役が遠隔地にいて一枚の議事録に署名することが難しい場合でも、持ち回り決議も可能とされており、同一フォームの複数の書面に署名することも可能で、最後の取締役が署名した時に決議が成立します。 株主総会について Web会議、電話、テレビ電話等で開催する方法  株主総会については、定款において、利用可能な技術的方法を使用して通知又は開催することを定めることができます。但し、会社は、全ての株主が参加でき、会議が適切に運営されることを常に確保しなくてはなりません。Web 会議、電話、テレビ電話等で株主総会を開催しようとする場合、このような定款の定めを置く必要があるといえます。 書面決議の方法  通常の外資企業が該当する非公開会社においては、賛成する決議の内容を書面に記載し、決議において議決権を行使することができる全ての株主が署名することにより、会社は株主総会を開催せずに株主総会決議を成立させることができます。注意を要するのは、全会一致の場合のみ書面決議を成立させることができ、反対株主がいる場合には書面決議を行うことはできません。  また、取締役会の場合と同様に、持ち回り決議も可能とされており、同一フォームの複数の書面に署名することも可能で、最後の株主が署名した時に決議が成立します。 (2020年7月号掲載) 甲斐史朗(かい ふみあき) TMI総合法律事務所パートナー(ミャンマー担当)。日本国弁護士。早稲田大学政治経済学部政治学科、ロンドン大学LLM卒業。2015年1月よりヤンゴンオフィス駐在。 TMI総合法律事務所 +95(0)1-255-047 弁護士約420名、弁理士約80名を擁する日本の五大法律事務所の一つ。 ミャンマーには、日本の法律事務所として最初に進出し、2012年にヤンゴンオフィスを開設。