国連大学前や渋谷駅周辺で在日ミャンマー人が決死の訴え
ミャンマー国軍によるクーデターから48日目となった3月20日から22日にかけ、国連大学前や東京・渋谷駅周辺では、複数の在日ミャンマー人団体がミャンマー国軍の残虐な弾圧や非人道的行為を訴え、民主化への支援を呼びかけた。ミャンマーの人権団体である政治犯支援協会によると、21日現在、国軍の虐殺行為によって250人の市民が死亡したという。 国連大学前では25人のミャンマー人が48時間のハンガーストライキを決行、ボランティアによる署名活動やリーフレットを配布した。また、渋谷駅周辺でもリーフレットやポケットティッシュを配布。会場を訪れた日本人からは「ミャンマーの民主化を応援しています」「頑張ってください」「民主化をあきらめないでください」などの声が聞かれた。 国連大学前のハンガーストライキにボランティアとして参加したスェイ・セツ・エイさんは「今ミャンマーでは国軍や警察隊の虐殺行為により、毎日のように一般市民が命を奪われています。私たちは軍事政権を終わらせて民主主義を取り戻したい。皆さんに署名などのご支援をお願いしたい」と話した。 当日配布されたパンフレット(クリックで拡大)
シンガポール開発のゴールデンシティ、国軍に土地賃貸料2億米ドルを支払い
シンガポール企業がヤンゴン市内で開発するゴールデンシティ不動産開発計画で、土地を所有する国軍に対して土地賃貸料として2億米ドル(およそ217億5,000万円)が支払われることがわかった。VOA Burmese Newsが3月18日に伝えた。 同開発計画に投資しているのはシンガポールに拠点を置くゴールデンランドで、総投資額は2億9,000万米ドル(およそ315億5,000万円)。国軍が所有する土地を70年間リースするBOT方式により2014年から建設が開始された。総戸数約1,200戸のうち、147戸は中国のファーウェイ社が賃貸しているという。 調べによると、2019年までに賃貸料として3,200万米ドル(およそ34億8,000万円)が国軍に支払われ、今後も2億米ドル(およそ217億5,000万円)が国軍の賃貸収入となるという。ゴールデンシティにはミン・アウン・ライン国軍総司令官の娘と息子の妻が経営する「Everfit Gym」が入居している。
仏教界の最高組織が軍事政権に反対、すべての職務を停止
仏教界の最高組織である国家サンガ長老会は、武力により政権を掌握した軍事政権に反意を表明し、3月16日から民主主義が回復するまですべての職務を停止すると発表した。高僧47人が出席した会議で決定したもので、Radio Free Asiaが3月17日に伝えた。 国家サンガ長老会は、①国軍は武器を持たない市民に対する暴力行為を直ちにやめること ②強盗・略奪行為をやめること ③若者の将来を考慮すること ④宗教・文化を貶める行為をやめること ⑤話し合いにより問題を解決すること、を軍事政権に要求している。 国家サンガ長老会は政治には不介入であったため、今回の決定は異例のことになる。
ミャンマー国軍記念式典に茂木外相「日本人関係者を一切派遣しない」
19日の参院予算委員会にて、立憲民主党の石橋通宏議員から3月27日のミャンマー国軍記念日に日本関係者が参加するという噂について質問がおよび、茂木敏充外相は「一切派遣するつもりはありません」と強く否定した。 茂木外相は「TVで放送されているので間違った情報を言わないでください」と前置きした上で、「国軍記念日に在ミャンマー日本大使館、防衛駐在武官を含む大使館関係者、日本人関係者を一切派遣するつもりはありません。ミャンマー国軍に対して民間人への暴力を停止すること、民主的な体制を回復していくことを日本独自の立場を持って働きかけてきましたが、これからも続けていきます」と国軍記念日の式典に参加しないことを明言した。 続けて登壇した菅義偉首相は「我が国はミャンマー国軍に対し、民間人の暴力的な対応の即時停止、アウン・サン・スー・チー国家顧問を含む拘束された関係者の解放、民主的な政治体制の早期回復を強く求めています。引き続き国軍を含むミャンマー側にさまざまな意思疎通のルートを持つ我が国として、日本独自の役割を果たしつつ、私自身の首脳外交も活用しながら関係国と緊密に連携していく決意であります」と答弁した。
スー・チー国家顧問に新たな汚職疑惑、国軍による事実のねつ造か
国営新聞Myanma Alinnが3月18日に伝えたアウン・サン・スー・チー国家顧問兼外相の新たな汚職疑惑は、国軍による事実ねつ造の疑いが拭えない。 汚職撲滅委員会によると、ミャンマー地場のセーパイン建設マウン・ウェイ社長が「2018年に10万米ドル、2019年に15万米ドル、2020年に30万米ドルをアウン・サン・スー・チー国家顧問兼外相の自宅で本人に対して直接手渡した。目的は事業に便宜を図ってもらうためで、スー・チー国家顧問が会長を務めるドーキンチー財団に寄付する形で献金した」と自白したという。しかし、現在の汚職撲滅委員会メンバーは国軍により任命されており、拘束中のスー・チー国家顧問を訴追し拘束期間の延長することで、同氏の政治生命を絶つ狙いがあるものとみられる。 ドーキンチー財団とは、2013年にアウン・サン・スー・チー氏が教育や健康、生活水準の向上などを目的に設立した非営利団体で、世界各国のNGOや経済実業家、ミャンマー国内の大口寄付者からの寄付により運営。「ドーキンチー」はスー・チー氏の母親の名前に由来している。