対ミャンマー投資はシンガポールが最多、国軍が制裁回避に利用か

 2021年2月に発生した国軍によるクーデターをきっかけにミャンマーへの外国からの投資が減少、外国企業の撤退が相次ぐ中、シンガポールからの投資の多さが際立っている。シンガポール最大の新聞「The Straits Times(海峡時報)」が4月22日に伝えたもので、2021年10月~22年3月の6か月間に承認されたシンガポールからのミャンマー向け投資額は2億9,700万米ドル(およそ381億円)に上り、国別で最多だった。2番目に規模が大きかったのは、ミャンマー国軍と関係が深い中国。1億4,200万米ドル(およそ182億円)を投資した。  米欧の各国はミャンマー国軍に関連する個人と団体に対して制裁を科しているが、シンガポールは科していない。人権団体は、ミャンマー軍関係者が制裁を回避するためシンガポールを利用することがあると指摘。「ミャンマー軍と海外の武器供給業者との支払いを容易にするため、シンガポールが利用される」可能性があるとしている。  The Straits Timesによれば、最近のミャンマー向け投資がシンガポール企業によるものか、シンガポール以外の外国企業によるものなのか詳細は不明だが、シンガポール企業のインベストコムがノルウェーの通信会社テノール傘下のテレノール・ミャンマーを買収する案件を見ても、外国企業がシンガポールをミャンマー向け投資の拠点として活用していることが分かる。インベストコムの実態は、レバノンの投資持ち株会社のM1グループとミャンマー企業の合弁会社だった。  一方、ミャンマーの軍事政権に反対する運動や人道支援を支持する世界的な募金活動でも、シンガポールで多くの資金が集められている。軍事政権と戦うために使用する武器の資金調達を募った世界的なキャンペーンでは、220万米ドル(およそ2億8,000万円)が寄付された。主催団体によると、このうち半分以上がシンガポールで集まった。一方、米国、韓国、日本、タイからの寄付は限定的だったという。(時事通信社)