JCB、ミャンマーへ本格進出 現地銀行組合と正式提携

日本最大手クレジットカード会社のJCBがミャンマー進出に大きな1歩を踏み出した。
7月4日、ミャンマー現地17銀行で構成する「MPU(Myanmar Payment Union)」とのJCBブランドカード取扱いに関する契約式典が、ヤンゴン市内のチャトリウムホテルで行われた。
JCBはミャンマーにおいて、1995年よりMFTB(Myanmar Foreign Trade Bank)を通じて一部ホテルやレストラン等でのJCBカードの取扱いを実施。さらに今年からミャンマーのホテルやレストランなどへカード加盟店の開拓を進めてきた。今回のMPUとの提携により、ミャンマー全土の17の銀行のATM、加盟店で同カードを利用でき、利用範囲が飛躍的に拡大することとなる。来年2014年をめどに、ミャンマー国内でのJCBカード発行についても協議を進めていく。
MPUは国内の唯一決済ネットワークで、2011年にミャンマー中央銀行が主体となって、17銀行がミャンマー国内にオンラインのデビットカードサービス(キャッシュカードを使い、買い物の代金を預貯金口座から引き落とすシステム)を開始するべく設立された。12年9月からATMや店舗でカード利用が可能になり、同カードの流通は国内で15万枚という。「JCBと提携することで、ミャンマーを訪れる外国人客にとっては便利になる。ミャンマー人の利用者も増える」とMPU副会長は期待を寄せる。
ミャンマーは金融インフラがまだ未整備のため、カードを使用できる店舗はごく一部にとどまっているが、引き続きJCBは日本人などカードを保有している外国人中心に使用してもらいながら、今回のライセンス契約で利用者の加速を見込む。なお、同社は1961年に創業し、1981年にアジアを中心に海外へと拡大した。現在190カ国以上で利用でき、JCBカードの使用者は約8,000万人。同カードがミャンマー国内ATMで利用可能になるのは、今年8月末から9月を予定し、遅くても今年12月のSEAゲームまでにはカード利用の環境を整えるという。
「ミャンマー人にも国内ではMPUを使い、国外ではJCBを利用してほしい」と三宮維光JCBインターナショナル社長は語る。米国とミャンマーの関係改善を背景に米系カードの攻勢が予想される中で、今回JCBは先陣を切った形になった。まずは今年12月にミャンマーで開催されるSEAゲーム(東南アジア競技大会)でのカード活用と成功が大きなポイントになりそうだ。