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スタートアップ起業家が仕掛けるミャンマー支援 貧困地域でコメを配布

スタートアップ起業家が仕掛けるミャンマー支援 貧困地域でコメを配布 「生活に困っている人を助けてあげたい」と始めたRice Donation Movement(RDM)。責任者の高田氏はどういった思いで活動をスタートさせたのか?  本誌が発行される4月1日の時点では、いくつも見かけるようになったミャンマーへの寄付や支援。それを現地にいながら先駆けて実行したのが、デリバリーサービスHi-Soの代表取締役である高田氏。彼は”Rice Donation Movement”、略してRDMと銘打ち、貧窮するミャンマー人にコメを寄付する活動を行い、すでに12トンの食糧支援を完了した。  支援に至った経緯は、経済活動がストップしていれば、自社も含むデリバリースタッフや路上の物売りなどの日雇いという就業形態の人々が苦しくなると考え、またそうした実情で暮らしているミャンマー人が非常に多く、生活貧窮者が増えると思っていたからだという。ミャンマーでは月末に給料を受け取るケースがほとんどで、クーデター直後の2月1日から無給でデモに参加しても有給休暇を活用でき、正規雇用の従業員の生活がすぐに困窮する恐れはないが、一方で何も保証のない日雇い労働者にとっては生活が厳しくなっていくことは明らか。さらに社会課題を解決するのがスタートアップ起業家としての使命であると感じていたため、「目の前で生活に困っている人がいるなら助けてあげたい」と寄付活動を決意した。 全文を読む >> (全文をお読みいただくには「プレミアム会員」のご登録が必要となります)

世界同時多発! 最大の課題は海上輸送 コロナ禍のミャンマー物流

世界同時多発! 最大の課題は海上輸送 コロナ禍のミャンマー物流 ▲45ft トラック24輌、32ft トラック10輌を所有し、毎日約30~40台が稼働。倉庫では新たなサービスにも着手し、付加価値を高めていく ▲テクノロジーの導入にも余念がなく、作業効率の高い倉庫を実現。倉庫内の「ムダ・ムラ・ムリ」を排除するため、日々改善に努めてきた ▲顧客ニーズの拡大のため、2021年中に小型トラックを30台まで増やす予定。最終製品を店舗まで配送するサービスにも注力する 車需要増で導入するキャリアカー 積極投資と未来を見据えた戦略  元文5年(1740年)に創業した老舗の物流企業・大善が、海外初拠点となるミャンマーに進出したのが2015年。翌年よりティラワ経済特区で事業を開始、創業当初はフォワーディング・通関業務を主業とし、その後ティラワ内の倉庫・輸送事業が増加、現在では定期的に国境陸運・海上輸送なども手がけている。  最大の強みは、倉庫・輸送・フォワーディング・通関とすべて内製化したワンストップサービス。45ftのトラックを24輌、32ftのトラックを10輌所有し、大量輸送によって単価を下げ、ミャンマーでは珍しい物流効率の高い横開閉式サイドカーテンセミトレーラーも有する。現在、協力会社とともにヤンゴン市内および都市間の長距離輸送など毎日約30~40台のトラックが稼働している。  事業の成長とともに設備投資にも注力し、昨今の増加する乗用車需要を受けて、車載車を導入。車両輸送事業は2月末にスタートする予定。さらに小型トラックを新たに購入し、川下の店舗配送にも対応できるようになった。本年度中には、車両台数70輌を見込んでいる。最近では、前述したサイドカーテンセミトレーラーを改造することで、原材料と最終製品の輸送に対応し、複数メーカーの製品の一貫輸送を可能にするなど、物流効率の向上とともに価格競争力を高め、事業改善を促している。  また、最新テクノロジーにも着目し、GPSによる運行管理、ドライバーの運転技術評価など多岐にわたる課題をシステムを通じて一元管理。運行状況をリアルタイムに顧客と共有することで、安心を提供する。さらに、ティラワで最初に保税倉庫ライセンスを取得した同社ならではの強みが非居住者在庫サービス。これはミャンマーで登記をしていない企業でもティラワの倉庫で保税保管できるため、開業以来好評を博している。  現在の拠点はヤンゴン市内、ティラワSEZ内とタイ・ミャンマー国境のミャワディーの3ヵ所だが、コロナの影響で倉庫需要が急激に高まり、現在は外部倉庫を含めて7つの倉庫を使いながら忙しく稼働している。「保税倉庫でラベリング業務も開始し、さらにサービスの価値を高めていきたい」と矢部MD。  コロナ禍でも積極的な投資とサービス向上に努める大善。未来を見据えた戦略でミャンマー物流に新時代の波を生み出そうとしている。 ▲ミャンマーでの立ち上げから、事業を軌道に乗せるまでともに奔走してきた矢部兄弟。 兄(左)がMD で、弟がデュプティMDを務める Telephone 09-4484-29856 / 09-9709-12317(矢部) Address Plot No. C-13, Thilawa Special Economic Zone A, Yangon URL https://daizenlogi.com << 前ページ 次ページ >>

世界同時多発! 最大の課題は海上輸送 コロナ禍のミャンマー物流

世界同時多発! 最大の課題は海上輸送 コロナ禍のミャンマー物流 ▲設備ラインの解体・搬出・梱包・輸出・輸送~現地側輸入・搬入・据付工事まで一括して対応するエンジニアリングサービス。長年同社のメインサービスの一つである ▲ティラワ経済特区のゾーンAに構える倉庫。今後は、請負事業も注力し、資材の保管や製造ラインへの投入、梱包なども手がけていきたいという ▲ミャンマー物流のパイオニアだからこそ安心して任せられる輸送業務。ODAなどの大型案件からタイとの二国間物流など、あらゆる知見を有する ミャンマー物流のパイオニア 物流プラスワンの請負事業  2012年に設立し、ミャンマー物流企業の老舗である鴻池運輸は、未開拓な土地で苦労を重ねながら、信頼の実績と知見を蓄積してきた。現在では当たり前となったタイとの二国間物流も手探りで情報をかき集め、ときに日本人スタッフが現地まで赴くなど、パイオニアとしてその功績は多大なものがある。  ミャンマーでの初案件が、ODA再開第一号となる水力発電所の更新工事。耐荷重に不安のある橋を確認するため、ミャンマーの建設省に直接話し合いに行くなど、積み上げてきた経験は特筆すべきもの。また、そうした知見によってクロスボーダー物流にも強みを持ち、タイ国境での車両相互乗り入れといった複雑な通関業務も慣れており、東西経済回廊の物流でさらなる案件増を見込む。  そして、今や大手物流企業がひしめくなかでも差別化しているのが、顧客に寄り添う手厚いサービス。進出検討段階の企業に対し、ミャンマー独自の法制度や物流事情などを丁寧にアドバイスし、親身になってサポートする姿勢を貫いてきた。「1990年代のベトナム時代から、そうしたスタンスでお客様を支援してきました。単にモノを運ぶだけでなく、お客様と一緒になって進出を支援していくやり方は弊社のスタイルです」と話すのは、海外物流専門でキャリアを重ねてきた田中MD。  その言葉の通り、日本では物流以外で多くの実績を持っているのが請負事業。これは、あらゆる製造現場において製造工程の一部を請け負うもの。海外ではベトナムでサービス展開中であり、将来的なミャンマーでの可能性も探る。さらに設備輸送サービスに関しては、電気、配管などの分野までカバーすることが可能で、フルターンキーのサービス提供が特徴であり、新規進出時や設備の増設などの案件で心強い味方になる。「お客様のOKをいただくまでサポートいたします。中古機械でも新品でも、ぜひ一度ご相談ください」。また、物流での請負においては、資材の保管や製造ラインへの投入、梱包などの出荷業務、トラックへの荷役業務なども対応可能。「日本では請負業務はメイン事業の一つであり、東南アジアでも展開したいと考えています」。  ミャンマー物流のパイオニアが手がけるプラスワンの事業。厚い信頼と実績に加えたさらなる付加価値に期待せざるを得ない。 Telephone 01-230-9144 / 09-2662-30550(田中) Address ALot No.C-20, Thilawa Sez Zone A, Yangon URL https://www.konoike.net << 前ページ 次ページ >>

世界同時多発! 最大の課題は海上輸送 コロナ禍のミャンマー物流

世界同時多発! 最大の課題は海上輸送 コロナ禍のミャンマー物流 ▲物流、重量機工とともに同社の柱となっている事業が検品・検針。専門の日本人とともに経験豊富なスタッフが行う ▲専門の現場作業員10人を抱え、ODA ほか重量機工事業に強みを持っている。専用の機材も自社で有し、価格競争力も高い ▲トラックは全部で15台で、頻繁にタイなどの近隣に陸送する。今後は製造業案件のためにティラワの拠点設立も視野に入 れる 検品・検針から機械据付まで 逆境に負けない総合物流企業  日立物流の全額出資子会社であった日新運輸(現在はエーアイテイーの全額出資子会社)が、2012年にミャンマーの地場企業と立ち上げた日新運輸ミャンマー。日立物流が1980年代からすでに開始し、先駆者といわれる3PL事業に早くから着手し、ヤンゴン国際空港から約8km、ヤンゴン港まで約15kmにあるラインタヤに、アパレルの検品・検針が可能な約1万2000㎡の自社物流センターを有し、ダウンタウンにオフィスを構える。  コロナ禍ながら問題なく稼働しているアパレルの検品・検針では、専任の日本人が常駐、すでに9年の知見を有し、きめ細かなサービスが顧客にも好評。コロナの影響で顧客先に赴き、検品・検針といった要望にも応え、持ち前の物流との一貫したサービスが付加価値を高めている。  ODAほか重量機工事業は、日立物流の得意分野だったこともあり、据付を含めて総合病院や水力発電所、港から橋まで数々の大型案件を手がけてきた。同社では、重量機工事業専任のスタッフを10人抱え、安全意識の高さはさることながら、搬送専用の機材を有し、十分な実績と高い価格競争力を誇る。斎藤MDは「今後もODAや民間の投資も続くので、強みを生かしていきたい」と胸を張る。  日本からの設備機械の移設も手がけ、日本側と連携しながら機械の取り外し、梱包、据付といったサービスも得意領域である。「こうした案件は下準備が不可欠であり、川上である日本側の丁寧な仕事ぶりが生きています」と話すのは宮田部長。  さらに陸送と海上輸送を組み合わせた独自のサービス「スマートマイロード」を展開し、タイ経由で日本・中国への輸送を海路のみと比べて約2週間のリードタイム短縮を実現。昨今のコロナ禍による影響で、海上輸送が厳しくなると、タイには陸送、そこから日本へ空輸といった臨機応変な輸送も対応し、グローバルに展開する物流企業ならではのコネクションを存分に発揮している。  トレーラーは現在15台を有し、スタッフは総勢約350人で、日本人が4人。今後はティラワの拠点開設も視野に入れ、さらなる事業拡大を目指す。「コロナ禍で新たなサービスにも着手しているので、今後もお客様にメリットのある提案をしていきたい」と斎藤MD。  大手ならではの知見と実績、新たなる試みでミャンマー物流の王道をひた走る。 ▲「コロナ禍でも新たな提案をしていきたい。今後の戦略として、積極的な投資も考えています」と語った斎藤MD(左) Telephone 09-4500-53203(斎藤) / 09-4218-07525(宮田) Address Room no.503, Danathiha Center No.790, B ogyoke Aung San Rd., Lanmadaw Tsp., Yangon URL http://www.nitran.co.jp << 前ページ

コロナ禍ながらも日本への出国が再開 再び動き出すミャンマー人材採用(P.2)

コロナ禍ながらも日本への出国が再開 再び動き出すミャンマー人材採用 逃亡するケースは減少 雇用契約の遵守が根幹 ──技能実習生の逃亡といったトラブルは起きているのでしょうか。また、何が問題なのでしょうか  2014年頃、技能実習生の逃亡が日本でも話題となり、ミャンマーの労働省や送り出し機関の関係者、日本の厚労省、入国管理局で問題解決に向けて協議しました。ミャンマー人の逃亡は「もっといい給料で働ける仕事を紹介する」といった誘い文句で不法就労や難民申請するのが通常のパターン。ただし、当機関でもスマートカード取得の際に、日本の文化や逃亡リスクをしっかりとレクチャーした結果、そうしたケースはだいぶ減り、最近では報告も入っていません。 ──産経新聞のインタビューでは、「日本にMOEAFの事務所を開設する」と発言されていますが、現在はどういった状況でしょうか  日本での事務所開設に動いたのですが、さまざまな法律の問題から厳しいことがわかりました。現在は一旦停止していますが、法律が改正されれば、改めて検討したいと思います。 ──ミャンマー人材については、日本ミャンマー協会と提携していますね  2014年に提携の覚書を締結し、2019年に契約が満了しました。いくつかの問題が改善されたため、契約を延長しなかったという背景があります。 ──現在、日本には専門スタッフはいないということですね  MOEAFの駐在員は日本におりません。基本的に人材のアフターケアは各送り出し機関や監理団体が行い、昔のように逃亡する技能実習生も少なくなったため、不要となりました。労働関係の問題があれば、まずは送り出し機関が解決に向けて努め、次の段階で大使館関係者が対応、それでも事態が改善しないときは、MOEAFが仲介に入るというプロセスとなっています。現在、日本で解決できないトラブルはありませんし、非常に順調といえます。 ──ミャンマー人を雇用する日系企業に期待したいことは  やはり雇用契約通りの待遇や条件を遵守していただきたいですし、それが根幹となります。 ──日本政府に期待したいことはありますか  日本政府には、これまで以上に労働の機会を提供していただきたいです。日本での就労を目指すミャンマー人材は、日本語教育はもとより、ビジネスマナーや文化も理解し、よりスムーズに日本で働けるよう、ミャンマー側でも努力しています。PCR検査なども厳格化し、コロナ禍でも世界基準で手続きをしていますし、必ずや日本の役に立てる人材を供給できると考えていますので、より多くの就労機会を作っていただけたら幸いです。 ミャンマー人材採用 Q&A ひょんなところに落とし穴がある海外人材の採用。送り出し機関のYellowLink代表・ゾーゾー氏(P.5参照)に、ミャンマー人材採用での“あるある”などを教えてもらった。 Q. 企業が誤って理解している点は、どういったことでしょうか A. 日本の法律では、特定技能制度においては、企業が直接採用可能となっています。しかし、ミャンマーの法律では、採用するためには、ミャンマー政府が認定している送り出し機関を経由しなければなりません。それぞれの国の事情もあるので、注意が必要です。 Q. 人材採用までどれくらいの期間を想定した方がいいでしょうか A. 最低でも6ヵ月、下調べをしていないなら1年を想定するのが無難です。ミャンマー側で必要書類を揃えるのに1〜2ヵ月かかり、日本側では2~3ヵ月必要となりますので、面接から最短で約半年かかります。ミャンマー側の人材紹介会社が決まっていなければ、さらに時間がかかりますし、日緬の法律の理解も含めれば、1年見ておけば大丈夫だと思います。 Q. オンライン面接だけで採用を決めていいのでしょうか A. 昨年はほとんどの採用担当者にミャンマーに来ていただき、面接する生徒だけじゃなくて、多くの生徒と話をし、理解を深めてもらいました。ミャンマー人の気質のみならず、さらに観光などを通じ、ミャンマー全体の理解につながったわけです。できることならミャンマーに来ていただきたいのですが、現在はコロナの影響もあり、叶いません。そのためオンラインで面接をしていますが、コロナが落ち着けば、やはり来て、見ていただくのが最良であると感じています。 Q. ミャンマー人材の特徴は A. 仏教を大切にしているため、年配者や先生など目上の人をリスペクトし、話を真剣に聞く気持ちが、ASEANの中でも強いと思います。そういう意味で、ミャンマー人材は介護事業に非常に向いていると考えます。一方で、大家族で育っているケースが多く、甘やかされている面もあり、怒られるとすぐに落ち込んでしまう人もいます。 Q. どういったケアをすると、会社に対するロイヤリティが上がりますか A. 前述した通り大家族で育った若者が多いので、家族付き合いのように接すると非常に喜びます。特別扱いをする必要はありませんが、「ご飯は食べましたか?」といった程度でいいので、日頃から声がけすることで「上司は気にしてくれている」と思ってくれるので、コミュニケーションも円滑になり、場合によっては能力以上に力を発揮するケースも。一方、普段からコミュニケーションしていないと、そもそも日本語は母国語ではないですし、緊張してさらに話せなくなりますので、仕事へのモチベーションにも影響が出てきます。 << 前ページ 次ページ >>

コロナ禍ながらも日本への出国が再開 再び動き出すミャンマー人材採用(P.3)

コロナ禍ながらも日本への出国が再開 再び動き出すミャンマー人材採用 ▲アルプス技研が採用したミャンマー人。派遣先である京都府の研究農場でトマトの栽培管理や収穫を行っている ▲飼料の生産工程を管理しているミャンマー人技術者。日本の子会社「アグリ&ケア」では、産学連携開発の最先端、農業支援ロボット実証試験に参画しているミャンマー人の卒業生もいる ▲横浜本社にて今村社長と談笑するティダさん。ティダさんは「ビジネスにおいてミャンマーでは結果のみを重視しますが、日本では計画と結果の両方を重視していますね」と両国の違いを説明する 農業・介護派遣で信頼の実績 日緬の未来を支える人材を育成 派遣先から惜しみない評価 ミャンマー人の高い可能性 創業53年目を迎え、100年企業へと動き出したアルプス技研。自動車産業、ロボット、航空機など多岐に渡るモノづくり現場でのエンジニア派遣事業をコアビジネスとし、これまで約100人のミャンマー人を採用してきた。次の50年に向けて重視しているのが農業・介護の派遣事業。日本では農業・介護現場の人材不足が騒がれて久しく、温和な性格ときめ細かな作業にも対応するミャンマー人材への期待が高まっている。「ミャンマーの優秀な人材をヤンゴンの当校で学んでもらった後、弊社で採用し、日本の企業様に派遣しています。実際、当社が派遣したミャンマーの方々はお客様から高い評価をいただいています」と今村社長は自信をみせる。  京都に本社を構え農作物の生産管理を行う派遣先の研究農場チーフは、アルプス技研のミャンマー人材に対して、「東南アジア諸国の中でも比較的真面目で手先が器用なイメージでしたが、想像以上に勤勉で意思疎通も充分にできています。今後も優秀なミャンマー人を派遣していただきたい。そして、就労後に母国に戻り、世界有数の植物工場の一役を担ってほしいですね」と好印象を示す。  アルプス技研本社で社員として働くティダ・アウンさんは、来日後エンジニアとして2年半を過ごし、仕事のルールや日本式の考え方を理解しスキルの向上を実感している。現在は国際部で、後輩のミャンマー人材のサポート業務を通じ管理スキルを磨き、今後は現場に戻り、さらにエンジニアとしての高いキャリアを目指す。ティダさんをはじめ、多くのミャンマー人材は、製造業における研究・開発現場や第一次産業で日本の労働力を担った後、ミャンマーへ戻り日本の技術や文化を活かして母国の発展に貢献したいという。  今村社長は「弊社の創業者である松井利夫が1996年にミャンマーを訪れて以来、ミャンマーの方々の温かい心に感銘を受けて始めた人材教育事業が脈々と続いています。歴史的にも日本とミャンマーはかけがえのない関係であり、急速な発展が見込まれるミャンマーで事業を創出し、今後も両国の発展に貢献してまいります」と決意を語る。 ▲自身もエンジニア出身である今村社長。社長に就任した2015年にヤンゴン支店を設立。忙しい合間を縫って来緬し、ミャンマー事業を自ら推進する ▲「一人ひとりと向き合う指導が強み」と眞下社長が語る通り、個人的な悩みにも相談に乗ってあげるなど授業に集中でき る環境を整えている 一人ひとりと向き合う指導 短期間でN3取得者も現れる  元々同社のミャンマーでの事業は2003年に遡る。当時、前述した創業者の松井氏が私財を投じてITエンジニア育成コースをスタート、翌年ミャンマー政府は同社に対して介護人材の育成を許可、3年間に渡り計約400名のITエンジニア・介護人材を輩出した。2015年にヤンゴン支店を開設、2018年にNPO法人が運営母体となるアルプス技研高等職業訓練大学校「ALPSGIKEN High Grade Vocational Training Institute」を開校、そして昨年10月に独資による「ALPSGIKEN MyanmarCo., LTD.」を設立し当校を運営している。  柱となるのが、先に述べた農業と介護分野。生徒は高卒以上で30歳以下、週5日で1日6時間(現在はオンライン授業のため1日4時間)、会話を中心に日本語基礎に加え、各専門分野の職業訓練も行う。独資になったことでさらなる教育の質の向上を目指し、生徒一人ひとりの課題を把握、課題に対しての目標設定から報連相、時間厳守といった基本的なビジネスマナー、さらにプライベートな悩みまでも相談に乗るなど、より密度の濃いコミュニケーションで習熟度を上げている。特に日本語力は、N5から勉強を始め、早ければ7ヵ月でN3を取得する生徒もおり、同校最大の強みとなっている。「定期的に模擬試験を実施し、一人ひとりと面談することで課題を見つけて指導します。オンライン授業でも受講態度や、きちんと発声しているかといったところもチェックしています」と話すのは、眞下社長。  専門分野では、ミャンマーの農業大学の卒業生など高い知識を持つ人材を採用しつつ、在留資格特定技能に関わる技能評価試験対策カリキュラムによる農業未経験者への専門教育も実施している。介護分野では日本で実務経験を積んだミャンマー人講師が日本語で直接指導をしているため、すでに素地は整っている。そうした知識に加え、現在ではあらゆる業務に不可欠なPCスキルの習得といった就業後も即戦力として職場に馴染むための技術習得にも着手している。新型コロナウイルスの影響がある中で、昨年は41名の農業技術人材が来日。現在は、46名が日本での就業を待ち望んでいる。  昨年11月より新たに100人が日本語教育を開始し、年内の日本就業を視野に入れる。将来的には、同社の強みである技術分野での人材育成も計画しており、さらなる高みを目指す。日本での実績はさることながら、今後もミャンマー人材の育成・エンジニアリング事業に注力していく同社。日本とミャンマーの課題を解決し、両国の未来を支える人材が、ここから生まれようとしている。 ▲レーダンの交差点近くに移転し、より生徒たちが通いやすいロケーションに。眞下社長(左から2番目)ほか日本で経験を積んだスタッフがサポートする ▲「ビジネスマナーや商習慣はもとより、PC スキルといったビジネスで欠かせない基本的な知識や技術も指導をしています」と話す眞下社長 ▲ミャンマー人ほか海外人材が出席した2020年の入社式。今村社長(前列右3人目)は「農業技術・介護分野の教育を本格化し、ミャンマー現地でエンジニアリングをします」と話す 株式会社アルプス技研 Telephone:045-640-3702 Address:神奈川県横浜市西区みなとみらい2-3-5 クイーンズタワーC18F URL:https://www.alpsgiken.co.jp/ ALPSGIKEN High Grade Vocational Training Institute Telephone:097-7955-1712 / +95-97-7955-1712(国際電話) Address:ANo(15/17), Room(4B), 4th Fl., Yangon-Insein Rd., Kamayut Tsp., […]

コロナ禍ながらも日本への出国が再開 再び動き出すミャンマー人材採用(P.4)

コロナ禍ながらも日本への出国が再開 再び動き出すミャンマー人材採用 ▲2014年開校以来、生徒数は増加し、2020年12月時点でヤンゴン、マンダレー含め4校の在校生は1,000名を超えた ▲生徒は、eラーニングで自ら学ぶ力をつけ、オンラインの対面学習によって知識の定着化と理解を深めているという ▲「アジア諸国と比べてもミャンマーの若者はレベルが高いです。当校のトップクラスの卒業生は日本の大卒以上に優秀です」と断言する川崎社長 eラーニングとオンライン授業を追加 ITの基本から高度なエンジニアを育成  ヤンゴンのダウンタウンの中心地に学校を構える「メトロIT&ジャパニーズランゲージセンター」では、日本でITエンジニアとして働くことを夢みるミャンマーの若者の登竜門となっている。同校の教育はIT技術全般とOJT教育、日本語コミュニケーションにマナー教育と幅広く、日本で働く素養を2年間で学ぶ。在学中に「FE(基本情報処理技術者試験)とJLPT(日本語検定)N3」を取得することを目標とし、卒業後は、技術・人文知識・国際業務(高度人材)の在留資格を得て、即戦力での就業を目指す。  同校を運営するメトログループは長崎でITの専門学校事業を行っている。ミャンマーとの関わりは、2013年の優秀なITエンジニアを探しにアジア各国を回った時まで遡る。「ITや教養において優秀な人材がたくさんいることに感銘を受け、ミャンマー事業を本格化した」と川崎社長は振り返る。当初はオフショア開発中心だったが、ミャンマーの若者の勤勉性と日本で働きたいというニーズを目の当たりにし、日本で培った教育ノウハウを活かせば、彼らの希望も叶え、一方でIT人材を必要とする日本の課題も解消できると考え、学校設立を決意した。  コロナ禍の学校運営においては、昨年3月からのソーシャルディスタンス対策で登校が難しい中、現在はeラーニングとオンライン授業の二本柱に切り替えた。教育コンテンツ作成ポイントを熟知している同社だからこそできる強みであり、eラーニングのコンテンツは学生にも好評だ。特に、今後さまざまな理由で帰省しなくてはならないケースでも「有効に活用できる手段になる」と本田専務は確信している。  紹介する学生は日本でいう新卒のため、会社の色に染まりやすいのが特徴。新卒希望の日系企業からは「引き続き優秀な卒業生を紹介してほしい」とお願いされることも多く、コロナ禍でも人材紹介や学校見学の問い合わせは堅調。依然としてIT人材のニーズは高く、ミャンマーの日系企業と日本で働くITエンジニアはこれからも増えていくに違いない。  「論理的な思考ができて、日本語も堪能かつ、礼儀をわきまえているミャンマー人材を活用しない手はないと思います」と川崎社長。「卒業したら即戦力」をモットーに同校の卒業生は、日系企業にとって想像以上の付加価値をもたらしてくれるだろう。 ▲「当校の生徒は最年少で16歳と若いうちに、IT と日本語のスキルを身につけるので吸収の早さに驚いています」と本田専務は話す Telephone:01-3726-10(ヤンゴン) / 09-4010-00510(マンダレー) Address:No(A,B,C,D),3rd Fl., Kyaw Business Tower Condo, P ansodan St., Kyauktada Tsp., Yangon URL:www.metro-myanmar.com << 前ページ 次ページ >>

コロナ禍ながらも日本への出国が再開 再び動き出すミャンマー人材採用(P.5)

コロナ禍ながらも日本への出国が再開 再び動き出すミャンマー人材採用 ▲重要視する日本語授業。同校の人材は採用面接時も日本語で会話し、日本到着までにN3レベルまで成長する ▲看護経験を持つ新井取締役が丁寧に指導。基本的知識や介護エビデンスを丁寧に教え、利用者それぞれに個別性のある介護の提供を目指す ▲ミャンマーオフィスの場所はチーミンダイン。清潔な内装は日本のオフィスさながら。日本支店は板橋区(最寄りは千川駅)にある ミャンマー人と日系企業を熟知 優秀な人材が育つ環境を提供  翻訳・通訳サービス、ビジネスサポートから日本語学校、そして送り出し機関を運営するYellowLink。代表のゾーゾー氏とチョー・ウィン取締役の兄弟は、2004年に日本に留学し、約10年間企業で勤め、その後日本ミャンマー友好協会で翻訳・通訳業務を開始。14年にミャンマーに戻り、同社を立ち上げた。  ニーズの高まりを受けて日本語学校を開校、外国人労働の法律が整備されてきた18年に送り出し機関のライセンスを申請、19年に人材紹介事業を開始した。昨年スタートしたばかりにもかかわらず、すでに200名以上が生徒として在籍、10月に同社第一号となる介護技能実習生と特定技能(飲食加工)人材8名を日本に送り出した。その後11月にもミャンマー初の介護特定技能、ビルクリーニング特定技能人材が日本に向かい、さらに40名が出国を待っている。  強みの一つが日本語教育。元々、日本語学校を基盤として事業活動してきたため、メソッドは洗練され、どんな生徒でもN 3レベルまで学習した後に日本へ出国する。一般的な採用面接では、ミャンマー人材が日本語を話せないまま行うケースが多く、それが後に逃亡などにつながるトラブルを引き起こすため、同社ではある程度会話ができる人材だけを面接させることでリスクを軽減させている。  もう一つの強みが、日本で7年間看護師として務めてきた新井取締役の存在。介護と看護はリンクする部分が多く、日本人高齢者のマインドも丁寧にレクチャーし、実践さながらの経験を積ませている。そうした環境を目の当たりにした顧客からは、すでに数年先まで年50名単位の要望もあるというから特筆すべきだろう。  さらにはゾーゾー代表の弟であるチョー・ウィン取締役が現在、東京支店の代表を務め、営業を始め、ミャンマー人材のケアにあたるなど、万全の体制を整えている。  会社は着実に成長してきたが、「決して数にこだわるのではなく、質を求めていきたい」とゾーゾー代表は語る。日本滞在時にいい思いもつらい思いもしてきたゾーゾー代表だからこそ、ミャンマー人材が母国に戻ってきてからも独り立ちできるスキルを身につけ=日系企業の役に立ってほしいと強く願っている。ミャンマー人のマインドを熟知しながら日系企業を知り尽くす同社に一度ぜひ相談してほしい。 ▲ゾーゾー代表(右)と新井取締役。二人は夫婦であり、日本とミャンマーの架け橋となるべく、日々奔走している Telephone:01-931-7365 / 09-26100-6622(ゾーゾー) Address:No.52, Zay Gyee Street, Kyeemyindaing Tsp., Yangon URL:https://yellowlink-myanmar.com << 前ページ 次ページ >>

コロナ禍ながらも日本への出国が再開 再び動き出すミャンマー人材採用(P.6)

コロナ禍ながらも日本への出国が再開 再び動き出すミャンマー人材採用 ▲2019年のCGM JAPAN キックオフにて。IT、CAD、物流など幅広い業種において、即戦力となりうるミャンマー人材を育成し、活用指導している ▲「日本で働くためのセミナー」では、11大学を訪問し、1,000名以上の日本または在緬日系企業の就職を希望する学生が集まった ▲ミャンマーの大学生は、勤勉で優秀だが、今もなお就職先は少ない。MJCSNでは、企業が求める即戦力人材を育成する 日緬の課題解決を目指す両輪手法 「知・育・活」で事業成長を促進  大手企業向けのマーケティング支援を行うコプロシステムのグループ会社であるCGM JAPANは、海外人材の採用・育成と日本の企業の海外進出をサポートしてきた。2012年の設立当初は、中国で日系クライアント向けのマーケティング事業を柱としていたが、その後、ミャンマーで優秀なITエンジニアに出会ったことでミャンマーに軸足を移す。「優秀な若者が多くいますが、職に就く機会が十分に与えられていません。一方、日本の企業は人材不足。就労面で双方の課題解決のニーズが合致しています」と話す金田浩邦社長。  日本の企業にミャンマー人材を紹介し、さらにミャンマー進出を支援するなかで2つの課題が見えてきた。1つは、多くのミャンマー人が日本で働くことだけを目的とし、キャリア形成を考えられていないこと。もう1つは、日系企業がミャンマー進出した際、ミャンマー人を深く理解しておらず、事業運営に生かせていないこと。  それらの課題を解決するため、金田社長は、2020年2月にNPO法人スプリングウォーターと提携し、日本での就業を希望するミャンマー人材育成のコミュニティ「MyanmarJapan Career Success Network」(MJCSN)を立ち上げた。MJCSNでは、ミャンマーの17大学と提携し、オン・オフラインで即戦力として日本で働けるビジネス教育を行っている。日本語だけではなく、キャリア形成の方法からビジネスマナー、目指す仕事に必要なスキルや専門知識、そして日本流の考え方などを指導していく。  一方、日本企業や在緬日系企業向けには、「知・育・活」をスローガンにミャンマーの国や人柄を「知」ってもらい、人材を「育」て、そして人材を「活」かし、新たな事業を創出できるよう特別なプログラムを提供している。「一緒に働くことで、企業が深くミャンマー人材を理解し、一方ミャンマー人材が本当の意味でスキルを身につければ、日本にとっての労働力不足の解消だけでは終わらない。日緬にとっての課題解決につながります」  MJCSNは発足1年弱だが、ミャンマー人の応募も右肩上がり。CGM JAPANは10周年を目前に、日緬の雇用拡大とビジネス創出という難題を並行して解決させていく。 ▲金田社長は「将来、日本企業がミャンマー進出の際、日本で働いていた人材と一緒に新たな事業を創出してほしい」と夢を語る Telephone:03-6277-1944 Address:No.52, Zay Gyee Street, Kyeemyindaing Tsp., Yangon URL: CGM JAPAN (https://www.cgmj.co.jp/index.html) 特定非営利活動法人スプリングウォーター (https://www.springwater.gr.jp/) << 前ページ