激動の中から新たな潮流が生まれる
Myanmar DX Begins

激動の中から新たな潮流が生まれる Myanmar DX Begins

今回の特集は、ミャンマーのDX。人件費が低いという背景からIT化は遅れていると思われがちだが、実際は少し違う。ERP導入などはすでに世界でも標準であり、何よりもミスや工数を大幅に軽減する。現在、ミャンマーのDXはどこまで進んでいるのか?IT企業ブライセンの製品からその実情をお届けする。


難局を経て注目されるDX
新興国こそIT化のチャンス

 新型コロナウイルスの拡大により、全世界で一気に進むこととなったDXことデジタルトランスフォーメーション。ただ、DXの定義は曖昧な部分があり、単なるIT化とも違う。DXを直訳すれば、“デジタルによる変容”であり、つまりはデジタル技術を用いながら生活やビジネスが変容していくことを差す。経済産業省によると「データとデジタル技術を活用し、顧客や社会のニーズを基に製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに業務そのものや組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と説明している。

 ことミャンマーに目を向ければ、図らずもコロナ、政変という難局を経たからこそDXが花開く可能性がある。コロナが再拡大すれば、再び人との接触は減少し、対面業務にも限界が出てくるだろう。そして、現金不足といった問題は今もなお続いている。縫製業などでは数千人を雇用している企業もあり、一人ひとりを管理するのも大きな労力となり、属人的なビジネスフローであればどうしたってミスは起きる。一方、機械は常に正確であり、不正防止にも寄与し、イニシャルコストも低いソフトも増えたことから導入しやすい土壌は整っている。また、DXを進めた結果、コストが下がるといった利点も今後見直されるだろう。

 今やIT国家としての地位を確立しているエストニアが好例であるが、インフラが進んでいない国だからこそIT化は適しており、まさにミャンマーも同様。すでにスマホ所持率が100%に近い状況のため、DXへの抵抗もなく、移行はしやすいと言えるだろう。

 今回はミャンマーでDXを推進する企業ブライセンの製品から現状をお伝えする。

▲経産省のHPでは「アジアDXプロジェクト」というページがあり、アジアで新産業創出に挑む企業を支援している

現金不足という問題が今なお続いているミャンマー。また、ECサイトでも決済の主流は現金であるが、簡単にオンライン決済を組み込めるソフトがブライセンからリリースされている。

イニシャルコストは少額
簡単にオンライン決済を実現

 オンライン決済を簡易化するB-Cash OnlinePayment。ECでさえ、今もなお現金決済が主流のミャンマーにおいて高いポテンシャルを有するシステム。支払いページに同サイトを組み込むだけで、VISA、Master、JCB、MPUでの決済が可能となり、注文から15日以内に入金されるというシンプルな仕組み。しかも初期費用はわずか3万Ksで、その後は売り上げの数%を支払うだけで利用可能。導入側に必要なのは、決済サイトに飛ぶためのページのみ。

 決済手順は、商品を選び、支払い画面になると、B-Cash Online Paymentに飛び、そこでクレジットカード会社を選び完了。また、ECサイトだけではなく、BtoBの決済でも適用できるので、現金不足に悩む企業にとってもありがたい。当然日本側で決済もできるので昨今のミャンマーの金融事情、マーケットを考慮すれば、導入しない手はない。

▲サイトの下部に表示されている4種のクレジットカード(デビッドカード含む)。簡単にオンライン決済を実現する

▲B-Cash 画面から飛び、カードの種類を選び決済。VISA、Master、JCB利用者の多い日本人にとっても親和性が高い

▲カードを選択後、個人情報を入れて決済(右写真)。非常にシンプルな設計であり、使いやすい